小誌編集委員・杉田俊介が、韓国日本学会の国際学術大会<反嫌悪の実践的連帯>(2023年2月11日・淑明女子大学校)に、現地で発表者として参加し、「交差的な対抗運動のために ー日本人男性とアパシーの問題」について発表を行いました。下記は「中央日報」2月14日号に掲載された記事の翻訳です。(訳:櫻井信栄 翻訳に際して当日の配付資料を参照しました。韓国語の「嫌悪 혐오」は英語「hate」の訳語です。)
【韓国日本学会、「反嫌悪の実践的連帯」国際学術大会開催】
日本社会において社会的少数者に対する差別と排除は既に昔から存在してきたが、2010年代以後現れている嫌悪は民族、人種、ジェンダーなど既存の現象だけでなく、障害、疾病、老人など社会的弱者なども複雑に交差しながら噴出しているという点で新しい様相を見せている。
このような複合的嫌悪の現実に対応するため学問的、社会的接近もまた従来の個別研究領域を越えた横断的思考が要請されている。また気候変化と汚染物質、スーパーウイルスの拡散と結びついた嫌悪は「人間」の他者に対する根本的な視線を問うという点で動物や非人間に対する思考とも接ぎ木されて省察されなけれなばならない。
これに韓国日本学会は近来日本社会の新しい動向として浮上した嫌悪現象を学術的に議題化し、これに共同で対応するための横断的学術共同体を構築するため、嫌悪現象の原因と展開様相を診断し実践的対応を論議するための国際学術会議を用意した。
今回の学術大会は嫌悪時代の社会的需要に応じた日本研究を構築し新しい韓日関係を模索するための趣旨から「反嫌悪の実践的連帯」が主題だ。
基調講演として中沢けい法政大教授が『日本のレイシズム ー経験に即して』を発表し、企画発表として李漢正祥明大教授が『「在日朝鮮人」に対する嫌悪と差別』、杉田俊介評論家が『交差的な対抗運動のために ー日本人男性とアパシーの問題』、金志映淑明女子大教授が『ヘイトを越えて、連帯と歓待の翻訳地帯へ ー日本における「K-文学」の受容をめぐって』、村上克尚東京大教授が『ヘイトに文学的想像力で抗う ー星野智幸「植物忌」を中心に』という主題で発表を進行した。
学術大会において開かれた理事会を通じて第26代韓国日本学会会長に淑明女子大学校日本学科の李志炯教授が選出された。任期は2023年3月から2025年2月まで2年間だ。オン・オフラインのハイブリッド方式によって進行された学術大会では50件余りの発表が進行され250名余りが参席して盛況裡に開催された。